AIで作った画像を、Webサイトのメインビジュアルや広告バナー、SNS投稿に使いたいと考える企業は増えています。ただし商用で使う前には、既存の作品に似ていないか、使ったサービスの規約で商用利用が認められているか、人物やロゴが写り込んでいないかを確認する必要があります。この記事では、文化庁が公表した「AIと著作権に関する考え方」をもとに、AI生成画像を商用利用するときの注意点と、制作現場で使える確認ルールを整理します。法的な判断が必要な場面では、弁護士など法律の専門家に確認してください。
商用利用の前に確認する4つのポイント
この記事の要点
- 既存の作品と似た画像を利用すると、通常の著作権侵害と同じ基準で判断される。
- 生成ボタンを押すだけで作った画像は、著作物と認められない可能性がある。
- サービスの利用規約、人物の肖像、ロゴや商標の写り込みも、著作権とは別に確認する。
AI生成画像の商用利用で確認したいのは、著作権侵害のリスク、生成画像そのものの権利、利用規約、肖像・商標の4点です。どれか1つでも抜けると、公開後に差し替えや削除が必要になる場合があります。
AI画像生成の商用利用とは
AI画像生成の商用利用とは、画像生成AIで作った画像を、広告、Webサイト、商品パッケージ、販促物など、事業の利益につながる用途で使うことです。社内の打ち合わせ資料のように外部に出ない使い方とは、確認すべき範囲が異なります。
社内でのAI利用全般のルールづくりは生成AI社内ガイドラインの作り方で解説しています。この記事では、画像を社外に出して使う場面に絞って説明します。
著作権侵害になるかは「類似性」と「依拠性」で判断される
AIで生成した画像を利用したときに著作権侵害となるかは、人が描いた場合と同じ基準で判断されるとされています。文化庁の整理では、既存の著作物との「類似性」(創作的な表現が共通していること)と「依拠性」(既存の著作物をもとにしていること)の両方がある場合に、侵害となりえます。
生成・利用段階における著作権侵害の判断は、従来の著作権侵害と同様に、類似性と依拠性によって判断される。
出典: 文化庁「AIと著作権に関する考え方について(概要)」(令和6年3月15日)の内容を要約
注意したいのは、利用者が既存の作品を知らなくても、AIの学習データにその作品が含まれていれば、依拠性が認められうるとされている点です。また、生成すること自体が問題なくても、SNSへの投稿や販売など、利用する場面ごとに適法かどうかを判断する必要があります。
特定の作家名や作品名、キャラクター名をプロンプトに入れて生成した画像は、既存作品に似やすく、依拠性も疑われやすくなります。商用で使う画像では避けるのが安全です。
AIで生成した画像に著作権は発生するか
AIが自律的に生成したものは、著作物に当たらないと考えられています。文化庁の整理では、人が何も指示しない場合や、簡単な指示を与えて生成ボタンを押しただけの場合がこれに当たります。
一方、人が思想や感情を表現する道具としてAIを使い、創作的な寄与をした場合は、著作物と認められる可能性があります。判断の要素として、次のような点が挙げられています。
要素 | 文化庁の整理の要点 |
|---|---|
指示(プロンプト)の内容 | 創作的な表現にあたる具体的な指示は寄与と評価されやすい。アイデアを示すだけの長い指示は評価されにくい |
生成の試行回数 | 回数が多いこと自体は影響しない。生成物を確認しながら指示を修正する過程は、考慮される場合がある |
複数の生成物からの選択 | 選ぶだけでは通常影響しない |
人による加筆・修正 | 人が創作的に加筆・修正した部分は、通常、著作物性が認められる |
著作物と認められない画像は、他社に同じような画像を使われても権利を主張しにくくなります。ロゴやキャラクターなど、自社の独占的な資産にしたいものは、AIの生成物をそのまま使わず、人の手で仕上げることを検討します。
利用規約・肖像・商標の確認点
著作権とは別に、次の点も確認が必要です。
サービスの利用規約
画像生成サービスごとに、商用利用の可否、生成物の権利の扱い、禁止されている用途が定められています。無料プランと有料プランで条件が異なる場合もあります。規約は改定されることがあるため、利用時点の規約を確認し、確認した日付を記録しておきます。
人物の肖像
実在の人物に似た顔の画像を広告に使うと、肖像権やパブリシティ権の問題になる可能性があります。著名人の名前をプロンプトに入れた画像は、商用利用しないのが安全です。
ロゴや商標の写り込み
生成画像に、実在する企業のロゴや商品名に似た文字・図形が紛れ込むことがあります。他社の商標と誤認される表示は、商標法や不正競争防止法の観点から問題になる可能性があるため、公開前に細部まで確認します。
制作現場で決めておきたい運用ルール
当社のようにデザインを制作する現場では、AIで作った画像の扱いを事前に決めておくと、確認漏れを防げます。
- 使用するサービスを決め、利用規約で商用利用が認められていることを確認する。
- プロンプトに作家名、作品名、キャラクター名、実在の人物名を入れない。
- 生成した画像を、画像検索などで既存の作品と似ていないか確認する。
- 人物の顔、ロゴ、文字の写り込みを拡大して確認する。
- 使用したサービス、プロンプト、生成日を記録しておく。
- クライアントの案件で使う場合は、AI生成画像を使うことを事前に伝え、了承を得る。
文化庁は事業者向けに「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」(令和6年7月31日)も公表しています。社内ルールをつくる際の参考になります。
AIを取り入れた制作の進め方や、画像の扱いに関するルールづくりをご相談いただけます。
まとめ
- AI生成画像の利用が著作権侵害になるかは、既存作品との類似性と依拠性で判断される。
- 生成ボタンを押すだけで作った画像は、著作物と認められない可能性がある。
- 著作権とは別に、利用規約、肖像、ロゴや商標の写り込みを確認する。
- 使用サービス・プロンプト・生成日を記録し、クライアント案件では事前に了承を得る。
本記事の内容は、2026年10月時点で公表されている文化庁の資料をもとにした一般的な整理です。個別の案件で判断が必要な場合は、法律の専門家に確認してください。Webサイトやバナーの制作については、サービス一覧からご確認いただけます。



