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RAGとは|生成AIに社内情報で答えさせる仕組みと活用例
AIソリューション

RAGとは|生成AIに社内情報で答えさせる仕組みと活用例

#生成AI#データ活用
公開日 2026.10.28更新日 2026.10.28
監修者 鹿又勇太
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生成AIに社内の規程や商品情報について質問しても、一般論や事実と異なる答えが返ってくることがあります。AIが自社の情報を知らないためです。この課題を解決する代表的な方法がRAG(検索拡張生成)です。RAGを使うと、AIは回答の前に社内の文書を検索し、見つけた内容をもとに答えるようになります。この記事では、RAGの仕組みとファインチューニングとの違い、業務での活用例、導入時に精度を左右する注意点を、専門知識がなくても理解できるように解説します。

RAGの要点

この記事の要点

  • RAGは、生成AIが回答前に社内文書などを検索し、その内容を根拠に答える仕組み。
  • AIそのものを再学習させるファインチューニングと比べ、情報の追加や更新が容易で、回答の根拠も示しやすい。
  • 回答の精度は、AIの性能よりも、検索対象となる文書の質と整理の仕方に大きく左右される。

RAGとは

RAG(Retrieval-Augmented Generation、検索拡張生成)とは、生成AIが回答を作る前に外部の情報源を検索し、取得した情報を参照しながら回答を生成する仕組みです。2020年にMeta(当時Facebook)のAI研究チームなどが発表した論文で提唱されました。

大規模言語モデルが持つ知識に、外部の文書検索を組み合わせることで、知識が必要な質問への回答精度を高める手法が示されました。

出典: Lewis et al.「Retrieval-Augmented Generation for Knowledge-Intensive NLP Tasks」(2020)

生成AIは学習した時点までの一般的な知識しか持たず、社内の規程や最新の商品情報は知りません。RAGは、AIに「調べてから答える」手順を加えることで、この弱点を補います。生成AIを使ったエージェントの仕組みはAIエージェントとはも参考になります。

RAGの仕組み

RAGは、大きく次の流れで動きます。

  1. 準備: 社内のマニュアル、規程、FAQ、過去の資料などを小さな単位に分け、検索できる形でデータベースに登録する。
  2. 検索: 利用者が質問すると、質問の意味に近い文書をデータベースから探し出す。
  3. 回答の生成: 見つかった文書を質問と一緒に生成AIへ渡し、その内容をもとに回答を作らせる。
  4. 根拠の提示: 回答とあわせて、参照した文書名や該当箇所を示す。

検索には、言葉が完全に一致しなくても意味の近さで文書を探せる「ベクトル検索」がよく使われます。たとえば「有給の申請方法」と質問しても、「年次休暇の取得手続き」と書かれた規程を見つけられます。

ファインチューニングとの違い

生成AIに自社の知識を持たせる方法として、RAGのほかにファインチューニング(追加学習)があります。ファインチューニングとは、自社のデータを使ってAIモデルそのものを再学習させる方法です。

項目

RAG

ファインチューニング

方法

回答時に社内文書を検索して参照させる

自社データでモデルそのものを再学習させる

情報の更新

文書を差し替えればすぐ反映される

更新のたびに再学習が必要

回答の根拠

参照した文書を示せる

根拠を示しにくい

向いている用途

規程・マニュアル・商品情報など、正確さと鮮度が求められる知識

文体や回答の形式など、振る舞いを揃えたい場合

社内の知識を正確に答えさせたいという目的であれば、多くの場合はRAGから検討するのが現実的です。両者は組み合わせることもできます。

業務での活用例

RAGは、社内に文書が蓄積されているものの、探すのに時間がかかっている業務で効果を発揮します。

  • 社内問い合わせ対応: 就業規則や経費精算のルールなど、総務・人事への定型的な質問にAIが規程を根拠に答える。
  • 顧客対応の支援: 商品仕様や過去の対応履歴を検索し、担当者が回答を作る際の下調べをAIに任せる。
  • 資料・ナレッジ検索: 過去の提案書や議事録から、似た案件の情報をすばやく探し出す。
  • 新人の教育: 業務マニュアルを参照できるAIを用意し、先輩に聞く前に自分で調べられる環境をつくる。

顧客からの問い合わせにAIが直接答えるチャットボットにも、RAGはよく使われます。チャットボットの種類や導入の進め方はAIチャットボット導入の進め方で解説しています。

社内文書を活用したAIの仕組みづくりについて、考え方をまとめた資料をご用意しています。

資料をダウンロードする

導入時の注意点

RAGは仕組みを用意すれば自動的に正確になるわけではありません。導入前に次の点を確認してください。

検索対象の文書を整理する

回答の精度は、参照する文書の質で大きく変わります。古い版と新しい版の規程が混在していると、AIが古い情報を根拠に答えることがあります。登録する前に、最新版だけを残し、重複や矛盾を取り除いておくことが重要です。社内の用語や定義を揃えておく考え方はAI活用の土台は社内データ基盤で紹介しています。

誤った回答はゼロにならない

RAGを使っても、検索で関係の薄い文書が選ばれたり、AIが文書の内容を誤って要約したりすることがあります。回答に参照元を表示し、重要な判断の前には利用者が元の文書を確認する運用にします。

閲覧権限を引き継ぐ

人事評価や給与など、閲覧できる人が限られる文書を検索対象に含めると、本来見られない人にも内容が回答されるおそれがあります。文書ごとの閲覧権限をRAGの検索にも反映できるかを、導入前に確認してください。

最初から全社の文書を対象にすると、整理の手間と情報漏えいのリスクが大きくなります。まずは総務の規程集など、範囲が明確で公開範囲の広い文書から小さく始めるのが安全です。

まとめ

  • RAGは、生成AIが社内文書を検索してから回答する仕組みで、AIが知らない自社の情報に答えさせられる。
  • ファインチューニングと比べて情報の更新が容易で、回答の根拠を示しやすい。
  • 社内問い合わせ、顧客対応の支援、資料検索、新人教育などで活用できる。
  • 精度は文書の整理で決まる。範囲を絞って小さく始め、参照元の確認と閲覧権限の管理を運用に組み込む。

社内のデータを活用したAIの導入や業務システムとの連携については、サービス一覧からご相談いただけます。

よくある質問

A

構成によって大きく変わります。既存のAIサービスが持つファイル参照機能を使えば、月額のサービス利用料だけで小規模に試せます。社内システムと連携した専用の仕組みを開発する場合は、文書の整理や権限設計を含めて開発費用が発生します。まずは既存サービスで効果を確かめてから、専用開発を検討する順番が無理のない進め方です。

A

テキストを含むWord、PDF、表計算、Webページなどは多くの場合に使えます。ただし、画像として取り込まれたスキャンPDFや、表や図が複雑な資料は内容を正しく読み取れないことがあります。重要な文書は、文字として読み取れる形式になっているかを事前に確認してください。

A

登録した文書が最新であれば、その内容をもとに回答できます。逆に、文書を更新しなければAIも古い情報で答え続けます。規程やマニュアルを改訂したときに、RAGの検索対象も同時に差し替える手順を業務フローに組み込んでおくことが大切です。

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