デザイン案を受け取ったものの、「何か違う」と感じながらうまく言葉にできず、修正のやり取りが何往復も続いてしまうことがあります。デザインの修正依頼は、「どこを」「どう変えたいか」「なぜ変えたいか」をセットで伝えると、意図が正しく伝わり、やり直しの回数も減ります。この記事では、ホームページやバナーなどのデザインを外注する発注者向けに、伝わるフィードバックの書き方を良い例・悪い例で示し、修正回数と範囲の決め方、社内の意見をまとめて伝えるコツを解説します。
修正依頼は「箇所・要望・理由」の3点で伝える
この記事の要点
- 修正依頼は「どこを(箇所)」「どうしたいか(要望)」「なぜか(理由)」の3点で伝える。
- 好みの言葉ではなく、目的や読み手の反応を基準に伝えると判断がぶれにくい。
- 社内の意見は担当者が1つにまとめ、修正の回数と範囲は着手前に決めておく。
修正の行き違いの多くは、デザインの腕ではなく情報の不足から起きます。デザイナーは「なぜそう感じたのか」が分かれば、言われた箇所だけでなく、目的に合う別の解決策も提案できます。
修正依頼がうまく伝わらない理由
修正依頼が伝わらない主な理由は、感覚的な言葉だけで伝えてしまうことです。「もっとおしゃれに」「なんとなく弱い」といった表現は、受け取る人によって解釈が大きく変わります。
デザインの良し悪しを言葉で説明する考え方は、デザインの言語化とはで詳しく解説しています。修正依頼は、この言語化を発注者側で少しだけ行う作業だと考えると取り組みやすくなります。
- 感覚的な言葉だけで、どこをどう変えるかが分からない。
- 修正の理由が書かれておらず、デザイナーが意図を推測するしかない。
- 複数の担当者から別々に、ときには矛盾する指示が届く。
- 修正のたびに新しい要望が加わり、最初の目的からずれていく。
伝わるフィードバックの書き方
フィードバックは、次の3点を1セットにして書きます。
- 箇所:どのページの、どの要素か。画面のキャプチャに印や番号を付けると確実に伝わる。
- 要望:どうしたいか。具体的な指示でも、目指したい状態でもよい。
- 理由:なぜそうしたいか。目的、読み手、社内の事情など。
良い例と悪い例
悪い例 | 良い例 |
|---|---|
もっと目立たせてください。 | トップの「資料請求」ボタンを、スクロールしなくても目に入る位置と大きさにしたいです。資料請求を一番の成果にしているためです。 |
全体的に暗いです。 | 背景の濃い紺を、もう少し明るい色にできますか。子育て世代の読み手に、親しみやすい印象を持ってほしいためです。 |
なんか違う気がします。 | 2ページ目の写真が、実際の店舗の雰囲気より高級に見えます。来店後にギャップを感じさせたくないので、普段の店内に近い写真に変えたいです。 |
好みではなく目的で伝える
「この色が好きではない」という感想も大切な情報ですが、それだけでは判断の基準になりません。「誰に、どう感じてほしいか」という目的に置き換えて伝えると、デザイナーは目的に合う選択肢を示せます。目的とずれた好みの修正は、成果につながりにくい点も意識しておくと安心です。
具体案は「例」として添える
「ボタンを赤にしてください」と答えを決めて伝えるより、「目立たせたい。たとえば赤など」と目的と例を分けて伝えるほうが、全体の配色と調和した提案を受けやすくなります。参考にしたいサイトや画像があれば、どこが参考になるのかも添えます。
修正回数と範囲は着手前に決める
修正の回数と範囲は、制作に入る前に制作会社と確認しておくのが基本です。契約や見積もりで「修正は何回まで」「どこからが追加費用か」が決まっていることが多く、知らずに大きな変更を依頼すると、費用や納期に影響する場合があります。
- 修正の回数:見積もりに含まれる修正回数と、超えた場合の扱い。
- 修正の範囲:文言や色の調整は修正の範囲内でも、構成やページの追加は別料金になりやすい。
- 修正の時期:デザインの確定後にレイアウトを大きく変えると、作り直しに近い作業になる。
見積書でどこまでが含まれているかの見方は、ホームページ制作の見積書の見方が参考になります。全体の工程のどこで何を確認するかは、ホームページ制作の流れで解説しています。
構成や掲載内容の大きな変更は、デザインの前段階(構成案・ワイヤーフレームの確認時)に出すと、手戻りを小さくできます。
社内の意見をまとめて伝えるコツ
修正依頼は、窓口になる担当者が社内の意見を1つにまとめてから伝えます。関係者がそれぞれ直接連絡すると、指示が食い違い、デザイナーはどれを優先すべきか判断できません。
- 確認する人と、最終的に決める人を先に決める。
- 関係者の意見を1つの資料やシートに集める。
- 矛盾する意見は、社内で優先順位を決めてから伝える。
- 修正の優先度(必ず直したい/できれば直したい)を付けて、一度にまとめて送る。
小出しに何度も送るより、一度にまとめて送るほうが、デザイナーは全体を見て調整でき、結果として早く仕上がります。
修正依頼でよくある失敗
次のような進め方は、修正の往復が増え、費用や納期にも影響しやすくなります。
- 確認の最終段階で、決裁者が初めてデザインを見て大きな変更が入る。
- 修正のたびに新しい要望を足し、最初の目的が分からなくなる。
- 電話や口頭だけで伝え、どこをどう直すかの記録が残らない。
- 前回の修正と逆の指示を出してしまい、元に戻す作業が発生する。
決裁者には早い段階から方向性だけでも確認してもらい、修正依頼は文章とキャプチャで残しておくと、こうした失敗を防げます。
まとめ
- 修正依頼は「箇所・要望・理由」の3点をセットで伝える。
- 好みの言葉は、目的や読み手の反応に置き換えて伝える。
- 具体案は答えではなく「例」として添えると、全体と調和した提案を受けやすい。
- 修正の回数と範囲は着手前に確認し、大きな変更は早い段階で出す。
- 社内の意見は担当者が1つにまとめ、優先度を付けて一度に送る。
伝わるフィードバックは、発注者とデザイナーの双方にとって作業を減らし、仕上がりの質を上げる近道です。制作の進め方や依頼の仕方について相談したい場合は、サービス一覧からご確認ください。



