自社のサービスや会社を一言で表そうとして言葉が出てこない、あるいは「高品質」「お客様第一」といった、どこかで見たような表現になってしまう。キャッチコピーづくりでよく起きる悩みです。刺さるコピーは、センスやひらめきだけで生まれるわけではありません。誰に何を約束するかを決め、伝える価値を絞り込み、言葉を磨くという手順を踏めば、社内でも形にできます。この記事では、キャッチコピーの作り方を5つのステップで整理し、言葉選びのコツとよくある失敗、Webサイトや広告など用途別の考え方まで解説します。
キャッチコピーの作り方は「絞る・翻訳する・磨く」の順で進める
キャッチコピーは、伝えたい価値を1つに絞り、それを読み手のベネフィット(得られる結果)に翻訳し、余分な言葉を削って磨くという順序で作ります。多くの人はいきなり気の利いた言い回しを探しますが、先に「誰に・何を約束するか」を決めないと、言葉だけが上滑りします。まず設計を固め、表現はその後で磨くのが遠回りに見えて近道です。
この記事の要点
- キャッチコピーは表現力より、伝える価値を1つに絞れているかで決まる
- 特徴ではなく、読み手が得られる結果(ベネフィット)に言い換える
- 1案で決めず、切り口を変えた複数案から選んで磨く
キャッチコピーとは
キャッチコピーとは、商品・サービス・会社の価値を短い言葉で伝え、読み手の関心を引くための一文です。広告の見出し、Webサイトのファーストビュー、会社案内の表紙などで、最初に目に入り、続きを読むかどうかを左右します。似た言葉に「タグライン」や「スローガン」がありますが、キャッチコピーは特定の商品や場面で関心を引く役割が中心で、より短期的・訴求的に使われる点が異なります。
大切なのは、キャッチコピーは飾りの言葉ではなく、読み手に「これは自分に関係がある」と思ってもらうための入口だという点です。うまい表現よりも、相手の関心事と自社の価値が噛み合っているかどうかが効果を分けます。
キャッチコピーの作り方 5ステップ
ここからは、実際の手順を5つのステップに分けて説明します。順番に進めることで、思いつきに頼らず、根拠のあるコピーにたどり着けます。
- ターゲットと目的を決める
誰に読んでほしいのか、そのコピーで何をしてほしいのか(知ってもらう・問い合わせる・購入するなど)を先に決めます。読み手が経営者なのか現場担当者なのかで、響く言葉は変わります。目的が「認知」か「行動」かでも、言い切りの強さが変わります。 - 伝える価値を1つに絞る
自社の強みや提供価値を書き出し、その中から最も伝えたいものを1つだけ選びます。あれもこれもと盛り込むほど、印象は薄まります。価値の候補が多いときは、他社が言いにくいこと、読み手が最も困っていることを基準に選びます。 - ベネフィットに翻訳する
選んだ価値を、読み手が得られる結果に言い換えます。「デザインと実装を一貫対応」という特徴は、「窓口ひとつで、意図がぶれずに形になる」という結果に翻訳できます。主語を常に読み手に置き、「だから、あなたはこうなる」と言えるかを確認します。 - 切り口を変えて複数案を出す
1案で決めず、角度を変えて複数の案を作ります。同じ価値でも、機能で語る案、感情に寄り添う案、実績で信頼を示す案では印象が変わります。当社でも提案時は、切り口を変えた3案以上を用意し、その中から選ぶようにしています。まず数を出し、質はあとで判断します。 - 削って磨く
候補を声に出して読み、リズムの悪い言葉や重複を削ります。1文1メッセージを守り、抽象的な言葉は具体に置き換えます。迷ったら、意味が伝わる範囲で短いほうを選びます。
ステップ2までが設計、ステップ3以降が表現です。うまくいかないときは表現をこねるより、価値の絞り込み(ステップ2)に戻ると突破口が見つかります。
刺さる言葉選びのコツ
設計ができたら、言葉の精度を上げます。読み手が自分ごととして受け取れるかどうかは、次の点で大きく変わります。
- 具体で語る:「業務効率化を実現」ではなく「請求書づくりの夜なべをなくす」のように、名詞と動詞で情景が浮かぶ言葉にします。
- 読み手の言葉を使う:社内用語や専門語は避け、相手が実際に口にする言葉に置き換えます。商談や問い合わせで聞いた生の声が良い材料になります。
- 一文一義にする:1つのコピーで主張は1つに絞ります。要素を詰め込むほど、どれも記憶に残りません。
- 言い切る:「〜など」「〜を目指します」といった曖昧な語尾は、印象を弱めます。約束できることは言い切ります。
言葉のトーンは、Webサイトや会社案内など他の発信と揃えると、ブランドとしての一貫性が生まれます。トーンの整え方はブランディングとは|中小企業が取り組む意味と進め方もあわせて参考にしてください。
キャッチコピーでよくある失敗
逆に、次のようなコピーは効果が出にくくなります。作ったあとに当てはまっていないか確認してみてください。
伝わるコピー
- 約束が1つに絞られている
- 読み手の得られる結果が書かれている
- 具体的で、情景が浮かぶ
伝わりにくいコピー
- 「高品質」「革新的」など抽象語だけ
- 特徴の羅列で、結果が見えない
- 「業界No.1」など根拠のない最上級
とくに根拠のない最上級(No.1・最高・絶対)は、信頼を損なうだけでなく表示上のルールに触れる場合もあります。強く言いたいときほど、事実で裏づけられる表現を選びます。
自社の言葉が定まらないときは、価値の整理から一緒に考えます。
用途別のキャッチコピーの考え方
同じ会社でも、使う場所によって求められる役割は変わります。掲載先に合わせて、長さと目的を調整します。
用途 | 主な役割 | 考え方の目安 |
|---|---|---|
Webサイトのファーストビュー | 続きを読ませる | 誰向けで何ができるかを短く言い切る |
広告・バナー | クリックさせる | ベネフィットを前に置き、対象を絞る |
会社案内・パンフレット | 信頼を残す | 誇張を避け、価値観が伝わる言葉に |
採用 | 共感を得る | 働く姿や価値観を、飾らず具体に |
Web上の見出しや原稿づくり全体の進め方はホームページの原稿の書き方|準備の手順と止まらない進め方、広告バナーでの見せ方はバナーデザインの作り方|クリック率を高める構成と配色のコツで詳しく整理しています。
まとめ
キャッチコピーは、表現の巧みさよりも設計で決まります。作り方の要点を振り返ります。
- ターゲットと目的を決め、伝える価値を1つに絞る
- 特徴を、読み手が得られる結果(ベネフィット)に翻訳する
- 切り口を変えた複数案から選び、削って磨く
- 具体・読み手の言葉・一文一義を守り、根拠のない最上級は使わない
言葉づくりは、自社の価値を見つめ直す作業でもあります。表現に迷ったら価値の絞り込みに立ち返ると、進みやすくなります。ブランドの言葉やデザインをまとめて整えたい場合は、Cataly Designのサービスもご覧ください。



