制作が遅れる原因の多くは、デザインではなく原稿
ホームページ制作が予定より遅れる原因の大半は、原稿が揃わないことです。デザインや実装は制作会社側で進みますが、原稿は発注側にしか書けない部分が残るため、ここで止まると全工程が止まります。
逆に言えば、原稿の準備方法さえ決めておけば進行は安定します。必要なのは文章力ではなく、誰が・いつまでに・どのページを・どれくらい書くかを着手前に決めることです。ここでは原稿が止まる理由と、白紙から書かずに用意する手順を整理します。
原稿が止まる3つの理由
原稿の遅延は、ほぼ次の3パターンに分類できます。
- 担当が決まっていない:「みんなで考えましょう」という状態は、誰も書かない状態と同じです。ページごとに1人の書き手を決めます
- 白紙から書こうとしている:ゼロから文章を作ろうとすると着手のハードルが上がります。社内にある既存資料を集めるところから始めます
- 決裁が最後に来る:書き上げてから経営層が確認し、方針からやり直しになるパターンです。書き始める前に方向性だけ承認を取ります
とくに3つ目は手戻りが大きくなります。原稿完成後ではなく、構成段階(どのページに何を書くか)で一度決裁を通してください。制作の全体像はホームページ制作の流れで確認できます。
ページ別に必要な文量の目安
必要な文量が分かると、作業量が見積もれます。コーポレートサイトの場合、目安は次のとおりです。
ページ | 文量の目安 | 書く前に決めること |
|---|---|---|
トップページ | 300〜600字 | 会社を1文で説明する言葉 |
事業・サービス紹介 | 800〜1,500字/サービス | 対象顧客と、解決する課題 |
会社概要 | 200〜400字+基本情報 | 沿革をどこまで載せるか |
代表挨拶 | 400〜800字 | 創業の経緯か、これからの方針か |
選ばれる理由・強み | 600〜1,200字 | 他社と違う点を3つに絞る |
採用情報 | 800〜1,500字 | 求める人物像と、働き方の実態 |
お問い合わせ | 100〜200字 | 返信までの目安日数 |
10ページ規模のサイトなら、原稿量は合計で6,000〜1万字程度になります。1日1ページのペースでも2週間かかる計算です。制作開始と同時に着手しないと間に合いません。
白紙から書かない|社内資料の棚卸しから始める
原稿は新しく書くのではなく、既にある文章を集めて組み替えるのが最短です。次の5つを先に集めてください。
- 会社案内・パンフレット:会社概要と沿革はほぼ流用できます
- 営業資料・提案書:サービス説明として最も完成度が高い素材です
- 過去の問い合わせメール:顧客が実際に使う言葉と、よくある疑問が分かります
- 求人票:採用ページの原型になります
- 社員へのヒアリングメモ:「なぜ当社が選ばれたか」を営業担当に3人聞くだけで、強みの根拠が出てきます
集めた素材は、そのまま使うのではなく、ページごとに振り分けてから不足分だけを書き足します。この進め方だと、新規に書く量は全体の3割程度に収まることが多くなります。
読まれる原稿の型|結論から書く
Webの文章は、印刷物と読まれ方が違います。訪問者は上から順に読まず、必要な情報を探して拾い読みします。そのため次の型に沿って書きます。
- 結論を最初の1文に置く:「当社は◯◯業界向けの△△を提供しています」から始めます
- 根拠を続ける:実績、年数、体制など、判断材料になる事実を書きます
- 具体例で補う:抽象的な強みは、事例や数値で裏づけないと伝わりません
- 1段落は3〜4文まで:スマートフォンでは長い段落が読まれません
あわせて避けたい表現もあります。「お客様に寄り添う」「高品質なサービス」といった言葉は、どの会社でも書けるため差になりません。「創業◯年」「対応エリアは◯◯」「初回対応は◯営業日以内」のように、検証できる事実に置き換えてください。社内用語や業界の略語は、初出で1行の説明を添えます。
問い合わせにつながる文面の考え方はホームページの問い合わせを増やす方法もあわせて参考になります。
AIを使うなら、ゼロからではなく整形に使う
生成AIを原稿づくりに使う場合、白紙から書かせるより、集めた素材を渡して整形させるほうが精度が上がります。会社の実態を知らない状態で書かせた文章は、どこの会社にも当てはまる内容になり、結局書き直しになるためです。
CatalyDesignでは自社のコーポレートブログを、AIが下書きを作り人が承認してから公開するフローで運用しています。この運用で分かったのは、AIが有効なのは「素材がある状態からの構成と整形」であり、素材を集める工程は人が担うということです。ヒアリングメモや営業資料を渡したうえで「この内容を400字で、結論から書いて」と指示する使い方であれば、原稿作成の時間は実際に短縮できます。
ただし、事実確認は人が行う前提が必要です。実績年数や取引先名など、間違えると信用に関わる部分は必ず原文と突き合わせてください。AIを業務に組み込む進め方は生成AIを業務に導入する手順にまとめています。
提出前のチェック項目
原稿を制作会社に渡す前に、次の6点を確認します。
- 表記ゆれ:社名、サービス名、英数字の全角半角を統一する
- 数字の時点:「創業30年」「従業員50名」がいつ時点の数字か
- 事実確認:実績、資格、取引先名の掲載可否
- 誇大表現:「業界No.1」「必ず」などは根拠がなければ使わない
- 個人情報:社員の顔写真や氏名の掲載について本人の同意があるか
- 他サイトからの転用がないか:他社サイトの文章をそのまま使うと著作権の問題になります
まとめ|原稿は準備の問題であって、文章力の問題ではない
原稿づくりで押さえておきたい点は次の5つです。
- ページごとに書き手を1人決める。全員で考える体制は進まない
- 10ページなら合計6,000〜1万字。制作開始と同時に着手する
- 白紙から書かず、会社案内・営業資料・問い合わせメールを先に集める
- 結論を最初の1文に置き、抽象的な形容詞を検証できる事実に置き換える
- AIは素材の整形に使い、素材集めと事実確認は人が担う
原稿作成を含めて依頼したい場合や、社内の情報整理の進め方から相談したい場合はサービス一覧をご確認ください。制作会社側の対応範囲を見極める観点はWeb制作会社の選び方で整理しています。



