「デザインのアイデアが出ない」「いつも似た案になってしまう」と悩んだとき、才能のせいにする必要はありません。デザインのアイデア出しには、行き詰まりを抜けるための具体的な方法があります。本記事では、アイデア出しの前に決めておくこと、発想を広げる6つの方法、出した案の絞り込み方、よくある失敗までを整理します。Webサイトやバナーの制作で、案出しに時間がかかっている方に役立つ内容です。
結論:デザインのアイデアは「量を出す」と「組み合わせる」で広がる
デザインのアイデア出しで行き詰まったときは、まず質を問わずに量を出し、既存の要素を組み合わせて発想を広げることが有効です。良い案を一度で思いつこうとすると、判断が先に立って手が止まりやすくなるためです。
この記事の要点
- 始める前に目的・ターゲット・制約を決めると、発想の方向がぶれない
- 行き詰まったら、数を決める・組み合わせる・逆にするなどの方法で考える角度を変える
- 案を出す段階と絞る段階を分けると、アイデアが途中でしぼまない
デザインのアイデア出しとは|「広げる」と「絞る」の2段階
デザインのアイデア出しとは、課題を解決するための表現の候補をできるだけ多く考え、その中から目的に合う案を選ぶ工程のことです。案を広げる段階を「発散」、目的に照らして絞る段階を「収束」と呼びます。
広告の分野で長く読み継がれているジェームス・W・ヤングの『アイデアのつくり方』では、アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせである、という考え方が示されています。まったく新しいものを生み出そうとするより、手持ちの材料をどう組み合わせるかを考えるほうが、実務では案が出やすくなります。
アイデア出しを始める前に決める3つのこと
アイデア出しを始める前には、「目的」「ターゲット」「制約」の3つを決めておくことが重要です。前提が曖昧なまま案を出すと、数は増えても評価の基準がなく、最終的に選べなくなるためです。
- 目的:そのデザインで何を達成したいのか(例:問い合わせを増やす、採用の応募を集める)
- ターゲット:誰に届けるのか(年齢、立場、デザインを見る場面)
- 制約:予算、納期、使える素材、ブランドとして守るルール
制約は発想の妨げに思えますが、条件がはっきりしているほど考える範囲が定まり、案を出しやすくなります。ブランドとして保つべき一貫性については、ブランディングの意味と進め方もあわせて確認しておくと判断がぶれません。
行き詰まったときに発想を広げる6つの方法
行き詰まったときは、考える時間を増やすより、考える角度を変えることが効果的です。次の6つの方法は、一人でもチームでも使えます。
方法 | やり方 | 向いている場面 |
|---|---|---|
数を決めて出す | 「15分で20案」など時間と数を先に決め、質を問わず書き出す | 最初の一歩が踏み出せないとき |
組み合わせる | 無関係に見える2つの要素を掛け合わせて考える | 似た案ばかりになるとき |
逆にする | 業界の定番表現と反対のことをあえて試す | 競合と見分けがつかないとき |
制約を変える | 「2色だけ」「文字だけ」など条件を足して考える | 選択肢が多すぎて決められないとき |
別の分野から借りる | 業界の外や身の回りにあるデザインの工夫を参考にする | 業界の定番から抜け出したいとき |
手を動かしてラフを描く | 紙に小さなラフを何枚も描いて比べる | 頭の中だけで考えがまとまらないとき |
1. 数を決めて出す
最初に「15分で20案」のように時間と数を決めると、良し悪しを判断する前に手を動かせます。最初の数案は定番の発想になりがちですが、出し切ろうとする後半に意外な切り口が出てくることがあります。
2. 組み合わせる
無関係に見える2つの要素を掛け合わせると、新しい表現の方向性が見えてきます。たとえば「会計事務所のサイト」と「絵本」を掛け合わせると、難しい税の話をやさしいイラストで伝える、という切り口が生まれます。
3. 逆にする
業界で当たり前になっている表現を、あえて反対にしてみる方法です。高級感を出すために黒と金を使うことが多い分野で、白と余白で上質さを表現すると、ほかとの違いを打ち出せる可能性があります。ブレインストーミングの考案者として知られるアレックス・F・オズボーンのチェックリストにも、「逆にする」「組み合わせる」といった発想の視点が含まれています。
4. 制約を変える
あえて条件を足すと、考える範囲が絞られて案が出やすくなります。「使う色は2色まで」「写真を使わず文字だけで」といった縛りを設けると、普段は選ばない表現に目が向きます。
5. 別の分野から借りる
同じ業界の参考ばかり見ていると、表現が似通います。駅の案内サインや商品パッケージなど、身の回りにある別分野のデザインから伝え方の工夫を借りてくると、発想が広がります。CatalyDesignでも、身の回りをよく見ること、小さなことでも発見し疑問を持つことを、デザインを考える土台として大切にしています。
6. 手を動かしてラフを描く
頭の中だけで考えると、細部が気になって先に進めなくなります。紙に小さなラフを何枚も描くと、完成度を気にせずに構図や配置の違いを比べられます。
出したアイデアを絞り込む4つの基準
出したアイデアは、始める前に決めた目的とターゲットに照らして絞り込みます。好みで選ぶと、見た目は整っていても成果につながらない案が残るためです。
- 目的に合っているか:問い合わせを増やすなど、達成したいことに役立つ表現か
- ターゲットに伝わるか:担当者自身ではなく、届けたい相手の視点で判断しているか
- 実現できるか:予算、納期、用意できる素材の範囲で形にできるか
- ブランドと一貫しているか:これまでの発信や企業の印象と矛盾していないか
絞り込みでは、すぐに1案に決めず2〜3案を残し、ラフの状態で関係者に見せるのがおすすめです。完成してから方向性が変わる手戻りを防げます。バナーのように短い時間で見られる制作物の考え方は、バナーデザインの作り方で詳しく紹介しています。
デザインのアイデア出しでよくある失敗
アイデア出しがうまくいかない原因は、方法よりも進め方にあることが少なくありません。次の失敗に当てはまっていないか確認してみてください。
- 最初の案に固執する:最初に浮かんだ案は定番になりやすく、ほかの可能性を検討しないまま進むと差別化が難しくなります。
- 出しながら評価する:案を出すたびに良し悪しを判断すると、発想が途中でしぼみます。出す時間と選ぶ時間は分けましょう。
- いきなりパソコンで作り込む:配色やフォントの調整から始めると、構成や見せ方の検討が後回しになります。
- 参考デザインを見すぎる:見た目を集めすぎると、無意識のうちに似た案になりがちです。
まとめ:行き詰まったら「量」と「角度」を変える
デザインのアイデア出しは、才能よりも進め方で結果が変わります。前提を決めてから量を出し、角度を変えて広げ、目的に照らして絞る流れを意識すると、行き詰まりから抜け出しやすくなります。
- 始める前に、目的・ターゲット・制約の3つを決める
- アイデアは既存の要素の組み合わせと捉え、まず量を出す
- 行き詰まったら、組み合わせる・逆にする・制約を変えるなどで角度を変える
- 出す段階と絞る段階を分け、目的とターゲットを基準に選ぶ
目的に合ったデザインを形にしたい場合は、CatalyDesignのWebサイト制作もご覧ください。



